ヴァイツゼッカ―大統領がベルリンから誇らしくも厳粛に演説していた。演説の途中で(後から知ったのだが)あるフレーズを語ったー「我々・こそ・人民・だ」と。~ Wir sind das Volk. (We are the people) --このキーフレーズで東独の人々が団結し共産主義の政権を崩壊させた。
あれから30年たった今日、ドイツは統一30周年を祝っている。私はあの時の大統領の演説は、自分の人生が世界史に一番近づいた時だとよく思う。
ひとは人生のなかで歴史的な瞬間を経験するのは多くても一度だろうとずっと考えてきた。しかし今年、世界は信じられないほど混とんとしている。歴史に刻まれるニュースに日々接している。コロナウィルス、気候変動と異常気象、カリフォルニアの山火事、アメリカ大統領選挙の壊滅的なぶつかり合いなど。
”今年”は30年たてば歴史になるだろう。
北海道の小さな村にくらすなかでも、わたしの生活は1990年代よりずっと世界の影響を受けている。そしてヴァイツゼッカ―大統領の演説の一節をよく引き合いにし、自分の人生を現在ー過去―未来の拡がりで考えるようにしている。
リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカ―大統領の演説の引用(1985年、第二次世界大戦後40年を記念した演説「荒野の40年」)リンク
わたしたちは罪があってもなくても、年をとっていても若くても、過去を受け止めなければなりません。私たちはみな過去の結果に影響され、責任があります。若い世代古い世代とも、過去の記憶を心に刻むことがなぜ重要か、それを理解するためお互いに助け合わなければなりません。また助け合えるのです。
問題は、過去と折り合いをつけることではないのです。そんなことは出来ません。後になって過去を替えたり、なかったことにはできないのです。だからと言って、過去に目を閉じるひとは、現在のことも見えなくなってしまうのです。 非人間的な行いをこころに刻もうとしないものは、またそうしたことを犯す危険があるのです。(注:非人間的=ナチスの犯罪)
Noaiaki Gentsu